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1 3D CAD/CGを用いた組立説明図、図面の実施例
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3DCADを用いたイラスト図面 

詳細説明 2010.04.07
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Fig.1

 Fig.1Google SketchUpで3Dモデリングして設計した湘南電気鉄道デ1形(後の京急230形)の妄想模型の組立説明図です。

 細かい部分の詳細構造はまだまだいい加減ですが、一応スケール1/87で、既存の部品を一部流用して作ろうとしている物で先に組立説明図だけ作ってみました。雑誌の投稿記事にでも使ったら格好良くないですか?
 まあ設計途中でこんなもの作ってもあまり意味が無いかもしれませんが、3Dデータがあればすぐに(あれこれ修正入れながらでも1時間も要らない)できてしまいます。

 これが、従来からの手書き図面や2DCADやイラストレーター等で書こうとすると数時間から数日かかるでしょうか?
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Fig.2

 Fig.2は同じくGoogle SketchUpで同じ3Dデータを元に作った組立説明図です。

 Fig.1を見た雑誌の入稿担当者に「誠に申し訳ありませんが紙面の都合でカラーページが取れないので白黒のイラストでお願いできますか?」とか言われてさらに、「手前の窓ガラスと内装、パンタグラフと奥の窓ガラス」が被って見辛いのでアングルを多少変えてくれませんか?」と言われて、しぶしぶ修正したような図面ということで。

 まあ、それでもFig.1を修正してFig.2の図面を作るのに、二次元だったら全て最初からやりなおしですが三次元のモデルだとほんの数分でできるから大した修正ではありません。

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Fig.3
 何もわざわざ三次元CADとか使わなくても従来からある二次元の投影図で十分だろ。何が不満なんだ?
 そもそも機械設計図面というのは二次元の投影三面図で表現するものだ。二次元の投影図から脳内で三次元に認識できて一人前の設計者だ!
 3DCADとか言っても所詮見た目は画面上に二次元の絵が貼ってあるだけで、曲面の微妙な感じは実物どおりには表現できないわけだし何のメリットがあるんだ?。
 最近の若い奴らは何でもかんでもコンピューターを使えばいいと思ってる。新しい道具で楽をしようとするからろくな物が設計できないんだ!パソコン画面眺めてないで手を動かせ!休日出勤や残業して根性見せればできるだろう!
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Fig.4

 と、窓際に座っているベタラン技師や、年齢の近い先輩までにも何度となく同じようなことを言われたのは遠い昔のお話ですが、そのベテラン技師らが書いていたのが、Fig.3に示したような2DCADの設計検討図やFig.4のような2DCADのデータを何時間もかけて手動で隠線処理して描いた組立説明図です。
 これで製品や部品の実態把握が瞬時に正確にできるのですからもう脱帽ものとしか言いようがないです。

 自分も会社で3DCADが導入される以前は使ってましたよ2DCADも、それ以前にはドラグターや手書きの図面や検討図を。しかしながら論文発表の数日前に2DCADの設計検討図から手動で隠線処理して概要説明図を徹夜で作った時に改心しました。
 広
上記京急230形他の3Dデータは下記で販売中
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Fig.5 D51のテンダー図面の3Dビュー

 D51のテンダーの3D CAD/CGのデータをGoogle SketchUpのデータ形式で 3D Galleryに公開してあります。(Fig.5)

 左のFig.5は一見二次元の投影図に見えますがFig.5上にマウスのカーソルを置いて左右に振ってみたり、マウスの中央のホイールを回転させると、3D画像を拡大縮小できるはずです。

 この 3D Galleryに公開してあるデータはDownloadしてGoogle SketchUpに取り込むと非常に高精度な3Dデータを見ることができ、さらに形状、色等を変更、編集することも可能です。

 他にも無限のデータが3D Galleryに無償で公開されています。 

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 しかしながら業務で3DCADを設計に導入することで、全てが良いことばかりではありません。
設計担当者自身に以下のような問題が生じます。確実に自分の専門の設計以外の仕事が増えてしまいます。

 a) プレゼンテーション資料用の3Dイラストを作ってくれと営業部企画部から頼まれる。

 b) サービスマニュアルの3Dイラストを書いてくれとサービス部門から仕事を依頼される。

 c) 論文や特許や意匠申請用の図面を書いてくれと知財部同僚上司関連部署から依頼される。

 d) 雑誌の製品紹介記事用に製品の構成がよくわかる3Dイラストを書いてくれと上司企画室から依頼される。

 e) 削り出しで試作部品を作るとコストも納期もかかるから光造形等の3Dプリンターで出力したいので3Dデータを出してくれと試作部資材部から要求され、さらには設計加工効率上げたいから2次元図面だけでなく、3DCADのデータも出してくれと外注部品メーカー金型メーカーから依頼される。

 f) 強度解析、振動解析、樹脂の流動解析等のシミュレーションをしたいから3Dデータを出してくれと関係研究所関係部署から依頼される。

 g) 3DCADの自体の使い方を教えてくれとか、2D用データあるいはその逆に変換してくれとか、ソフトに不具合があるたびに同僚のみならず関係部署からひっきりなしに呼び出される。

 h) 3DCAD導入時に各種ソフトやハードの比較選定や見積もり作業をして、経理や関連部署と何度となく折衝して予算を捻出してもらう為の根回しや算段の作業が非常に手間がかかる。

 とまあ、会社組織全体では確実に業務の効率効果が上がります。しかしながらそのほとんどはある程度設計部門で製品の3Dデータさえできてしまえば、あとはCADオペレーターや下請けに任せておけば良いような雑用と言ってもいいような内容です。
 これらの雑用も3DCAD使いの設計担当者がひとりでやるにはこれが結構な作業量で、しかも設計の本業の成果には認められることは稀なので、せっかく3DCADを苦労して導入して全体で業務効率を格段に向上させてコストも抑えたと思っても、残念ながら個人の査定は上がらないでしょう。

 下手をすると同僚や上司に業務効率向上の成果だけ横取りされて、自分は雑用に押されて、本来の設計業務が大して成果が上げられずに最悪リストラ対象になるかもしれません。気を付けましょう。

 逆に言えば、3DCADは個人でプライベートで使う分にはひとりで何にでも使える魔法のような万能ツールです。
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